技術コラム

2024.4.1

インサートカラーをコスト30%削減して調達するポイント

インサートカラーとは?

インサートカラーとは、「insert(挿入) 」という名の通り、合成樹脂素材にインサート成形することによって接合部を強化するカラーです。樹脂素材は金属素材よりも機械強度が低いため、樹脂性の筐体をボルトで締結する際に部品を潰す可能性があります。

そこで素材間にインサートカラーを嵌め込むことによって、ジョイント部分が外れることや潰れることを防止することができます。

特に近年は軽量化ニーズの高まりにより、従来の金属部品を樹脂性部品に材質変更をしている背景があり、インサートカラーの需要は高まっています。当社がこれまで製造したインサートカラーは自動車電装部品や電池ケースに使用されます。

インサートカラーを冷間鍛造で製造することで得られるメリット

インサートカラーをはじめとする、カラー形状の製品は、ロットが数万個~数十万個となる場合が多く、大量生産を行うための工法で製作されることがほとんどです。主な製造・工法としては、自動盤をはじめとする切削加工か、フォーマーを活用した冷間鍛造、高さによってはプレス加工を行う場合もあります。当社では、従来切削加工で行っていたインサートカラーを、冷間鍛造化することでメリットのあるご提案を行ってきました。

本項では、インサートカラーを製造する上で冷間鍛造を使用するメリットについてお伝えいたします。冷間鍛造は、切削加工と比較して、工程短縮・集約ができる点が一つのメリットと言えます。

具体的な例を挙げると、内径に多段の形状を持つ製品や、外形が楕円形状・一部切り欠きなどを持つ製品を加工する場合には冷間鍛造を活かすとメリットがあります。というのも、複雑な形状を持つ製品の場合、切削での加工を検討すると工数が増えてしまい、結果としてコストアップを招きます。

そこで、ミクロン台の精度を求めない箇所を冷間鍛造でニアネットシェイプとした後に、一部切削仕上げとすることでトータルコスト・納期におけるメリットは享受できます。

一方で、インサートカラーで内径にストレートの貫通穴形状を持ち、L寸が~5mm程度の製品であれば、冷間鍛造によるメリットは低く、切子は出るものの全切削で仕上げていく方が金型代等も含めるとメリットがあると言えます。

つまり、インサートカラーのなかでも複雑形状・異形状を持つ製品群であれば冷間鍛造化によるコストダウンメリットが期待できると言えるのです。

インサートカラーが製品内で担う機能とは?

インサートカラーは、先にご紹介している通り、プラスチック素材に埋め込むことで素材同士のジョイント部分を強化する効果が期待されます。当社がこれまで提供してきた製品で言うと、自動車であれば電装ユニットのカバー・ボックスの締結機構に用いられてきました。以下ではインサートカラーが持つ、具体的な機能性について詳細をお伝えいたします。
①母材の陥没の防止
ボルトは締めると母材同士が固定をされますが、締結力が狭い範囲に集中してしまうと母材が耐えられず、陥没をしてしまいます。母材がプラスチックであれば陥没してしまう可能性が高く、締め付け力が低下してしまい、ボルトが緩んでしまいます。
②母材の損傷の軽減
柔らかい母材を、硬いボルトで締め込んだときに、母材側が傷まみれになってしまい、塗装などが剥がれてしまいます。プラスチックであれば、より傷に弱くなるので負荷を軽減するためにプラスチックにはカラーをインサートすることが求められています。

インサートカラーの製造実績に関するご紹介

1.自動車ウォーターポンプ用インサートカラー

本事例は、自動車のウォーターポンプ用カラー部品となります。

特徴としては、抜け止め回り止めの機能を持たせるため複雑な形状を有している点と、外形・穴径の公差が非常に厳しい点が挙げられます。
加えて穴の内面に破断面がない仕上げを行う必要があり、外形公差を維持しながら、穴の内径公差・仕上げを両立させる点が非常に難しい製品でした。>>>詳細はこちら

2.自動車ドア用インサートカラー

本事例は、自動車のドアに使用されるカラー部品です。特徴としては、貫通穴と異形穴が組み合わさった複雑な構造を有している点が挙げられます。切り欠き部に対して樹脂の抜け止めや回り止めを目的とした形状を当社がご提案させていただきました。>>>詳細はこちら

インサートカラーに関するよくある質問集

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