自動車のボディや、家電の部品まで、様々な製品の製造に活用されている鍛造ですが、材料の温度により冷間鍛造・熱間鍛造と呼び方が変わることはご存知でしょうか。このページでは、冷間鍛造と熱間鍛造の違いについて、ご紹介させていただきます。
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冷間鍛造(英:Cold forging、冷間圧造とも)とは、常温の金属材料に圧力を加えて成形を行う塑性加工の一つです。金属にはある一定以上の圧力を加えて変形させると元の形に戻らない性質があり、この性質のことを塑性と呼びます(塑性による変形は塑性変形と言います)。逆に圧力を加えて変形させた後圧力を取り除くと元の形に戻る場合は、この変形を弾性変形と呼びます。
冷間鍛造では、まず目的の部品を成形するための金型を設計し製作する必要があります。なお、金型の材質は工具鋼やハイス鋼(高速度鋼)であることが多いです。一般にコールドヘッダーやパーツフォーマーといった冷間圧造機に金型(ダイ)を取り付ければ、コイル形状の素材の切断から仕上げに至るまで、基本的にすべての工程を一台の圧造機で行うことができます。ただし、切削加工や研磨、タップ加工など特別な二次加工が必要な場合もあります。
冷間鍛造の特徴は主に3つあり、①塑性加工であるため切削と異なり材料ロスが少ない、②素材が常温であるため温度変化による寸法変化がほとんど無く高い精度を出せる、③(②と同様の理由で)ニアネットシェイプ加工、ネットシェイプ加工ができるため二次加工が不要となりコストを抑えられるという点が挙げられます。
繰り返しになりますが冷間鍛造では素材が常温であるために、熱間鍛造や温間鍛造に比べ変形抵抗が大きいです。したがって、冷間鍛造により製造される製品は比較的小さなものが多く、また金型が摩耗・破損しやすいというデメリットがあります。主な製品としては、ネジやボルト、ナット、カラー、ワッシャなどが代表的です。
ここからは、熱間鍛造について詳しく解説していきます。熱間鍛造(英:Hot forging)とは、材料によりますが約900℃~1,200℃の再結晶温度以上に材料を加熱したうえで成形を行う鍛造加工です。鉄であれば1,100~1,250℃程度、真鍮であれば700~750℃程度が熱間鍛造に適した温度になります。
熱間鍛造のメリットは、金属材料を加熱して高温にするため素材の変形抵抗が比較的小さく、冷間鍛造では成形が難しいような大型部品を加工できるという点です。一方、温度変化によるワークの寸法変化が大きいため、寸法公差や面粗度をはじめとする精度が冷間鍛造に劣るという点がデメリットになります。さらに、内部応力(歪み)を除去するための焼鈍(焼きなまし)も必要となるため、二次加工にかかるコストがネックとなる場合があります。
熱間鍛造で製造される主な製品は、高圧バルブやポンプ、シリンダー、その他産業機械部品など様々なものがあり、前述の通り比較的大物の製品が多いです。
冷間鍛造と熱間鍛造の違いについて下表にまとめました。
加工法 | 冷間鍛造 | 熱間鍛造 |
温度 | 常温 | 900~1,200℃(再結晶温度以上) |
特徴 | 変形抵抗が大きい寸法変化が小さい | 変形抵抗が小さい寸法変化が大きく加工後の精度が悪い |
メリット | 高い精度が出せる | 大物の加工が可能 |
デメリット | 金型が摩耗・破損しやすい | 二次加工が必要となりコストがかかる |
主な製品 | 比較的小物ネジ、ボルト、ナット、ワッシャ等 | 比較的大物高圧バルブ、ポンプ、シリンダー等 |
上表の通り、小物で高い精度が求められる場合は冷間鍛造、大物の製品を量産したいという場合は熱間鍛造を選択するというのがポイントになります。
ただ、製品種類や材質・形状・要求精度等によって異なる場合もありますので、まずは専門家にご相談ください。
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